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ヴァイオリン製作家、プレッセンダとは

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    トリノの弦楽器製作とフランスの影響

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    プレッセンダの登場とフランス式製作技術の導入

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    イタリア・クレモナの伝統との融合

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    プレッセンダ独自のスタイル

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    プレッセンダの晩期と後継者たち

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    高い市場価値と実用性

プレッセンダは、トリノ派の中心的存在として知られ、彼の製作したヴァイオリンはその美しさと音色で世界中の音楽愛好者を魅了しています。彼の革新技術と芸術的なアプローチは、ヴァイオリン製作に新しい風を吹き込み、後の世代に多大な影響を与えました。このコンテンツでは、プレッセンダの生涯や彼の製作スタイル、トリノ派の重要性について詳しくご紹介します。

株式会社ヴィルトゥオーゾ 代表取締役 (バイオリンの専門家) 杉田 直樹

2. トリノ派の誕生

トリノ派の誕生

トリノ派の歴史とプレッセンダ

  • Point 01

    トリノとフランスの関係

    イタリア・ピエモンテ州の州都であるトリノは、かつてサヴォイア公国の首都であり、1559年には首都がフランスのシャンベリーからトリノへ移されました。サヴォイア家は、現在のイタリアとフランスの国境地帯に跨る地域を支配しており、その領土は度々フランス軍の侵攻を受けました。こうした歴史的背景から、トリノの街にはフランス文化が流入し、特にサヴォイア家の妃たちの多くがフランス出身であったため、街はフランス風になったと言われています。さらにフランス革命やナポレオンによる占領期間中には、フランスの政治・政府構造が導入されました。この期間に音楽学校制度も導入され、多くの音楽学生が楽器を必要としたため、ミルクールの楽器製作工房にとっては格好の市場となりました。 1814年にナポレオンが退却し、サヴォイア家が復権した後も、ピエモンテ地方にはフランスの影響が色濃く残りました。

  • Point 02

    トリノ派の始まりとプレッセンダ以前

    トリノにおける弦楽器製作は、17世紀半ば、ジオフレッド・カッパの時代から始まります。この流派はその初期から高い品質を誇り、フランドルやその他の北ヨーロッパ様式の影響を受けていたと考えられています。その後、18世紀にはジョバンニ・フランチェスコ・チェロニアート(1720〜60年頃に活動)、ジョヴァンニ・バティスタ・グァダニーニ(1711-1786)に代表されるグァダニーニ・ファミリーが活躍しました。この18世紀にはクレモナのモデル、特にアマティの影響が強まりますが、絶え間ないフランスの影響と政治状況の変化により、当時のイタリアの主流とは異なる独自のスタイルを築いていったといえます。

    プレッセンダの働いた工房主であるニコラ・レテもトリノ派の形成に大きな影響を及ぼしました。また、アレッサンドロ・デスピーネはスイス生まれでフランス育ちのヴァイオリン製作者であり、医師としてトリノに移住しました。彼はアマチュアのヴァイオリン職人としては非常に高価な作品を生み出し、当時の王族とも交流がありました。デスピーネは同時期(1810年頃)にトリノに進出したニコラ・レテの「レテ・ピレメン社」と密接な関係を築き、グァダニーニ家とも協力して大規模な楽器ビジネスを展開していました。プレッセンダは、この「レテ・ピレメン社」で、フランスのミルクール出身の先輩職人たちと共に働いていたと考えられています。

  • Point 03

    プレッセンダの登場

    19世紀初頭、イタリアの弦楽器製作全体とりわけ栄光を築いてきたクレモナ派が衰退期を迎える中、ジョヴァンニ・フランチェスコ・プレッセンダが登場します。彼は1777年、ランゲ地方のレクイオ・ベッリア村で生まれ、当初は農業に従事する貧しい家庭の出身でした。しかし、1814年以降、トリノへ移り住み、フランス人弦楽器職人レテの工房で働くことになります。ニコラ・レテは1810年頃、フランスのミルクールから、アレッサンドロ・デスピーネとともにトリノへ移住した製作家です。レテの死後、プレッセンダは工房を引き継ぎ、独自の事業として発展させました。 プレッセンダは、レテの工房で習得したフランス式の製作技術を積極的に取り入れました。当時のフランス式製作法は、ミルクールの工房で用いられていた外枠型を用いたもので、効率的な製作を可能にしました。プレッセンダの作品は、フランス式の厳格な技巧と完璧さへの追求が特徴であり、それによって同時代のイタリア人職人とは一線を画しました。

    なお、かつては「プレッセンダはストリオーニの弟子」という説がありましたが、両者の作風を比較した結果、関連性はないとされ、現在ではこの説は否定されています。

プレッセンダの作風に見るフランスとイタリア、そして独自性


【フランス式製作技術からの影響】プレッセンダは、1820年代初頭にトリノにあったフランス系の工房で修行したと考えられており、その初期の楽器にはフレンチスタイルの影響が強く見られます。

製作方法: フランス式の製作法、特に外枠型を用いて楽器を組み立てる手法を取り入れました。これは、当時のクレモナ派の内枠型とは異なる特徴です。

モデル: 19世紀初めにフランスで人気を博したストラディバリ・モデルを製作の基礎としました。

効率性: フランス式の合理的な製作方法を取り入れることで、効率的な生産が可能になりました。


【イタリア・クレモナの伝統との融合】プレッセンダはフランスの技術を取り入れつつも、イタリア・クレモナの偉大な伝統、特にストラディバリとグァルネリ・デル・ジェスといった巨匠たちの作品から得たインスピレーションを独自のスタイルへと昇華させました。

アーチ(膨らみ): ストラディバリウス型を基本としながらも、力強い輪郭と低めのアーチを特徴としています。クレモナにヒントを得つつも、パリを経由したモデルを選んだとされています。

f字孔(サウンドホール): 開放的なf字孔は、スタイリッシュで洗練されており、ストラディバリとグァルネリ・デル・ジェスの融合とも評されています。

ニス: 透明感のある赤褐色のニスが印象的で、特に暗めの赤茶色のオイルニスは唯一無二と称されています。彼のニスの研究はクレモナ・ニスに通じるものがあり、品質の高い深紅色が美しく塗られています。

音色: 華やかで力強く、特に大ホールでの響きや投射力に優れています。力強い音色と繊細で柔らかい音色を兼ね備え、まさにヴァイオリニストのための楽器と評価されています。


【サラブエ・コレクションの影響】サラブエ伯爵(コジオ・ディ・サラブエ伯爵 1755-1840)は、トリノ一帯を領地としていた貴族で、著名なヴァイオリンコレクターでした。彼はストラディヴァリウスの製作工具や楽器を所有し、さらにガダニーニのパトロンでもあったことが知られています。 22歳年長のサラブエ伯爵の活動時期とプレッセンダの製作時期は重なり、 サラブエ伯爵が所有していたストラディヴァリウスのコレクションは、当時のトリノのヴァイオリン製作家にとって、最高のモデルを見る機会だったはずです。特にガダニーニのパトロンとして、彼にストラディヴァリの特徴を取り入れた楽器を作らせていたことを考えると、サラブエ伯爵がトリノのヴァイオリン製作界に与えた影響は大きかったと推測できます。 プレッセンダもまたトリノを拠点としていたため、サラブエ伯爵のコレクションや、彼が保護していた製作者たちを通して、彼もその影響を受けた可能性は高いといえます。サラブエ伯爵がトリノにもたらしたストラディヴァリの遺産は、プレッセンダの製作スタイルを確立する上で重要な役割を果たした可能性があります。


【プレッセンダ独自の個性】プレッセンダは、これらの要素をただ組み合わせるだけでなく、彼独自の個性を加えました。

独自のモデルの確立: ストラディバリとグァルネリ・デル・ジェスの要素を融合させることで、彼独自のモデルを確立しています。

スクロール: スクロールに強く残ったセンターラインは、プレッセンダの特徴の一つであり、後にはトリノ派のトレードマークにもなりました。

一貫したスタイル: 彼は生涯を通してコピー作品を製作せず、自身のスタイルを貫き、「プレッセンダモデル」を確立しました。


このように、プレッセンダはフランス式の効率的な製作技術と、イタリア・クレモナの伝統的な美意識、そして彼自身の革新的なデザインセンスを融合させることで、力強くも華やかな音色と、芸術的な美しさを兼ね備えた唯一無二の作品を生み出しました。


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4. トリノ派の技術

プレッセンダの後期と後継者たち


1837年、60歳だったプレッセンダは重い病気を患い、仕事に変化が生じ始めました。これにより、工房の職人が仕上げ作業に深く関わるようになり、ジュゼッペ・ロッカやピエール・パシュレルといった職人の手が加わった作品が見られるようになります。プレッセンダは1840年代末には劇的にペースを落とし、1854年に亡くなります。 彼の死後、トリノの弦楽器製作は、彼の友人であったテオバルド・リナルディ、そしてリナルディの婿であるベネデット・ジョッフレードに引き継がれました。彼らはプレッセンダの技術とスタイルを継承し、アントニオ・グァダニーニらとともに、次世代の優れた職人たち(メレガリ家、マルケッティ、オッドーネ、マレンゴ・リナルディなど)を育成し、20世紀、そして現代へとトリノの弦楽器製作の伝統を繋いでいきました。


近代トリノ派は、プレッセンダの影響を強く受けて、その特異な技術とスタイルを展開していきました。プレッセンダが確立した楽器製作の理念と技術は、木材の選定や加工、さらには弦楽器の調整において革新的でした。それに基づく独自の音色は、音楽家たちにとっても大きな刺激となったのです。後世のトリノ派では、これらの技術を引き継ぎつつ、さらに個々の音楽家のスタイルや表現を融合させることで、より多様で豊かな音楽を生み出すことに貢献してきました。


中でもアンニバレ・ファニョーラ(1866-1939年)は、トリノを代表する、20世紀の最高のヴァイオリン製作家の一人で、1894年にトリノに移住し、本格的にヴァイオリン製作を始めました。リナルディの工房で技術を向上させ、その後は独学で製作を続けました。 彼の作品は、材料選択、木工技術、ニスの品質全てにおいて高いレベルの芸術性を持ち、音質も素晴らしいと評価されており、モダン・イタリアン・メーカーの最高峰の一人に数えられています。ファニョーラは、プレッセンダ、グァダニーニ、ロッカといったトリノの偉大な巨匠たちのモデルを多く製作し、特にプレッセンダのモデルは、ファニョーラ作品の中でも多く見られ、20世紀を代表する弦楽器製作家であるファニョーラが、プレッセンダモデルの作品を最も多く製作したと言われています。ファニョーラは、プレッセンダの後期の作品のコピーも手掛け、その複製ラベルを自身のラベルのすぐ下に貼ったものも見られます。

プレッセンダ、その高い市場価値

【現代の演奏家が愛するプレッセンダの楽器】プレッセンダのヴァイオリンは、19世紀トリノ派の傑出した作品として、今日でも多くの演奏家から高い評価を受けています。その魅力は、伝統的な名器にも引けを取らない音色と実用性にあります。

【ストラディバリやグァルネリに並ぶ選択肢】 プレッセンダの楽器は、ストラディバリやグァルネリといった、数億から数十億円で取引される名器に次ぐ選択肢として認識されています。特に、力強さと豊かな音色を兼ね備えているため、多くの演奏家に愛されています。

【華やかで力強い音色】 プレッセンダのヴァイオリンは、華やかで力強い音色が特徴です。特に大きなホールでの響きや、遠くまで届く投射力に優れているため、ソリストや室内楽奏者にも高く評価されています。

【高い市場価値と実用性】現在、プレッセンダの楽器は、グァダニーニやロッカといった他の有名製作者の楽器と並び、高い市場価値を持っています。現在の相場はヴァイオリンで8000万円〜1億5000万円ほどとなります。これは、その芸術的価値だけでなく、実演における実用性が際立っていることも大きな理由です。

5. 現代の音楽シーンへの影響

憧れのヴァイオリンを手に入れる

プレッセンダのヴァイオリンは、その独自の美しさと音色で多くの音楽家たちから愛されています。VIRTUOSO名古屋駅前店、東京市場では、プレッセンダはじめトリノ派の楽器の情報を収集、発信しています。ご興味ある方はお問い合わせください。憧れの名器との出会いを私たちがサポートいたします。 

トリノ派のヴァイオリンは、明瞭で深みのある音を生み出す優れた楽器として評価されており、その音色は演奏者の表現力を大いに引き出し演奏者自身を高めてくれるでしょう。

私たちはこのような特別なヴァイオリンはもちろん、あらゆるクラス、グレードのヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、楽弓を取り扱っています。もし購入を検討されている方には、専門スタッフがしっかりとサポートいたします。初めての方でも安心してお選びいただけるよう、楽器選びやメンテナンスについてもアドバイスを行っています。また、楽器を購入された際のアフターサービスとして、定期メンテナンスや修理・音調整も丁寧に行っておりますので、長く安心して楽器と付き合うことができます。

このように、VIRTUOSO名古屋駅前店はじめ全店舗ではサポート体制も充実しています。皆様が素晴らしい音楽体験を得るために、ぜひ足を運んでみてください。確かな品質と美しい音色のヴァイオリンが、皆様の音楽の旅を支えてくれることでしょう。

お問い合わせと試奏のご案内

  • 7. お問い合わせと試奏のご案内
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プレッセンダのヴァイオリンやトリノ派、イタリアのヴァイオリンにご興味を持たれた方、ぜひ私たちにお問い合わせいただき、ご自身の音楽の一歩を踏み出してはいかがでしょうか。ヴィルトゥオーゾでは、お客様が安心してお買い物を楽しめるよう、体験型の試奏サービスをご用意しております。近くの店舗にお越しいただいたり、ご自宅や音楽教室にお伺いして、実際にヴァイオリン、チェロの音色を体感しながら、選定のお手伝いをさせていただきます。どのような楽器が自分にぴったりなのか、ぜひ実際にお試しいただくことが大切です。私たちは、お客様が最適な音楽体験を得られるよう、全力でサポートいたします。さらに、各地で開催する展示会ではモダンイタリアン、現代イタリアンの逸品、各国のアンティーク作品を実際にお弾きいただきその魅力を存分にお伝えできる機会を設けております。ぜひ、お気軽にお問い合わせください。私たちが、あなたの音楽の旅を応援いたします。

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